福岡高等裁判所宮崎支部 平成6年(う)50号 判決
職権をもって記録を調査するに,本件記録(但し,後記追送付の分を除く)には判決宣告調書が存在しない。もっとも,原審第3回公判調書の末尾には裁判官は判決宣告期日を平成6年9月8日午前10時と指定告知した旨の記載があり,また同記録には裁判官作成の判決原本が編てつしてあり,その冒頭には裁判所書記官において平成6年9月8日宣告と付記してあるが,前示のように判決宣告調書が存在しないので,果たして適法な方式を履践して宣告がなされたか否かを証明することができない。そうだとすると,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があるという外はなく,原判決はこの点において破棄を免れない。
……中略……
また,原審裁判所書記官作成の申述書によれば,原審裁判所書記官は,記録が控訴審に送付されて到達した後に,上級審の査察の結果,判決宣告調書の作成を失念していたことに気付き,その違法を補正するために追送付の判決宣告調書を作成したものであることが認められ,かかる行為は司法の公正の見地からも好ましいものでないことは当然であり,刑事訴訟法52条の法意にかんがみ,このような公判調書の作成は許されないものというべきである(最高裁昭和42年5月23日第三小法廷判決参照)。したがって,原審から当審に記録の到達後に作成されたものであることが明らかな前記追送付にかかる判決宣告調書は,その効力を認めることはできない。